不動産業の業務効率化とは?必要性と業務改善方法を解説
不動産業は業務量が多いため、業務効率化が求められる業界の1つです。本記事では、不動産業の4つの業務および現状と業務課題、業務効率化が必要な理由を解説します。また、不動産業における業務改善方法や具体的な施策も併せてご紹介します。不動産業の業務効率化を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.不動産業の主な4つの業務内容
- 2.不動産業の現状と業務課題
- 3.不動産業で業務効率化が必要な理由
- 3.1.コストを削減できる
- 3.2.顧客満足度が向上する
- 3.3.離職率を減らせる
- 4.不動産業における業務改善方法
- 4.1.業務プロセスのフローチャート化とマニュアルの作成
- 4.2.ペーパーレス化
- 4.3.定型業務の自動化
- 5.不動産業の業務効率化を実現する4つの施策
- 5.1.1.可変印字郵送サービスの導入
- 5.2.2.不動産管理ツールの導入
- 5.3.3.顧客管理システム(CRM)の導入
- 5.4.4.RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入
- 6.自社に合ったシステムやツールを活用し、不動産業の業務効率化を目指そう
不動産業の主な4つの業務内容
不動産業における業務効率化を考えるにあたっては、まずは不動産業でどのような仕事が行われているかを押さえておく必要があります。ここでは、不動産業の主な4つの業務を解説します。
1.開発
不動産業の業務の1つめは、開発です。不動産の企画立案だけでなく、建設用地の準備や販売代理会社への販売委託なども行います。開発業務では、主に以下を手がけます。
- 大規模マンション建設
- 街の再開発
- 大型商業施設の建設
- リゾート開発
など
不動産の開発事業には、多額の資金が必要です。そのため、一般的には豊富な資金力を持つ大手デベロッパーが担当します。
2.流通
不動産業の業務の2つめは、流通です。流通とは不動産の売り手と買い手をつなぐ業務で、具体的には以下を担当します。
- 売買仲介
- 賃貸仲介
- 不動産の広告活動
- 営業活動
売買や賃貸の仲介はもちろん、販売や仲介を行うための広告活動や営業活動も重要な仕事です。小資本で事業を運営できるため、中小規模の不動産会社も多くあります。
3.販売・賃貸
不動産業の業務の3つめは、販売と賃貸です。販売では戸建てや分譲マンション、土地などを販売します。具体的な業務内容は、以下のとおりです。
- レインズと呼ばれる指定流通機構への登録
- 広告作成(DM作成)
- 広告活動(DMの配布)
- 内覧実施
- 営業活動
販売は、デベロッパーのほか住宅販売会社やハウスメーカーが担当します。一般的に販売に際して、売り手と買い手が直接交渉することはありません。売り手と買い手のマッチングおよび売買契約交渉をするのが、不動産業の業務です。
賃貸では一戸建てやアパート、マンションなどの賃貸に関する以下の業務を行います。
- オーナーと借り主の仲介
- 広告作成(DM作成)
- 物件情報のインターネット掲載
賃貸を担当するのは、一般的に街で見かけるような賃貸仲介会社が中心です。大手から個人不動産まで、さまざまな規模の会社があります。
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4.管理
不動産業の業務の4つめは、管理です。管理業務では入居から退去までに必要な以下の業務を担い、不動産オーナーをサポートします。
- 家賃の集金
- 契約更新業務
- 賃料保証
- 入居者対応
- 駐車場の管理
- 設備の維持・管理
- 定期清掃
管理業務は幅広く、多岐に渡ります。一例を挙げると水漏れ発生時のクレームや、住民同士の騒音トラブルなどへの対応も重要な業務です。
管理は不動産管理会社が担当しますが、賃貸仲介会社が賃貸業と併せて担うケースも少なくありません。そのため管理業務をするのは、一般的に街で見かける不動産会社が中心となります。
不動産業の現状と業務課題
不動産業の効率化を目指すには、不動産業の現状と抱える課題を押さえておくことが重要です。ここでは、不動産業で問題視される3つの課題を解説します。
業務量の多さ
不動産業における大きな課題の1つが、業務量の多さです。前項で解説した通り、不動産業の業務内容は多岐に渡ります。
特に販売や賃貸、管理を担当している不動産会社は、オーナーと借り手とのやりとりだけでなく、必要に応じて居住者とコミュニケーションもとらなければなりません。不動産の設備に不具合が発生したときなどは、業者とのやり取りも必要です。このように、業務の幅が広く業務量も多いため、不動産業の勤務時間は長くなりがちだといわれています。
さらに、勤務時間が不規則な点も不動産業の特徴です。販売や賃貸を担当する場合、顧客の予定に合わせてスケジュールを調整しなくてはなりません。仮に内覧や契約の予定が夜間や土日に入った場合、休日出勤や残業も余儀なくされます。
人手不足
不動産業は、慢性的な人手不足が問題視されている業界の1つです。その理由としては、前項で解説した勤務時間の長さと、夜間早朝、休日出勤の多さが挙げられます。
また、不動産業では営業ノルマが課されるケースも少なくありません。ノルマをこなすことが負担に感じる場合、離職につながる可能性もあるでしょう。
なお、不動産業および物品賃貸業における入職者数と離職者数は、以下のとおりです。
入職者数 |
離職者数 |
|
2021年 |
87.2人 |
90.7人 |
2022年 |
146.4人 |
109.7人 |
2021年と比較し、2022年の離職者の割合は改善しています。しかし、労働環境などが改善されない状態では今後も多くの人材が集まるとは考えにくく、慢性的な人手不足は継続すると考えられます。
IT化の遅れ
IT化の遅れも、不動産業における大きな課題です。不動産業ではこれまで、多くの業務を書面でやり取りしてきました。書類を用いた業務の一例は、以下のとおりです。
- 帳票の管理
- 契約書類の管理
- 入金の確認
- 不動産に関する重要事項の説明
書面でのやり取りは業務量が増えるだけでなく、人的ミスの発生にもつながります。ミスのない効率的な業務を目指すのであれば、IT化が有効です。そこで国土交通省は、不動産業におけるIT化の遅れを少しでも取り戻せるように、以下の対策を講じました。
- 2017年から賃貸物件に関する重要事項の説明がオンライン上でも可能になった
- 2021年から売買物件に関する重要事項の説明がオンライン上でも可能になった
- 2022年から重要事項説明書や契約締結時書面などの書面電子化が可能になった
しかし、オンライン化や電子化を進めるには、新たなシステムやツールの導入が必要になります。またシステムに慣れるまでは、研修や勉強会が必要です。そのため膨大な業務量を抱える不動産業ではシステムの導入自体が難しく、思うようにIT化が進んでいないというのが現状です。
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不動産業で業務効率化が必要な理由
不動産業が抱える問題点を解決するには、業務の効率化が不可欠です。ここでは、不動産業における業務効率化の必要性と、業務を効率化で得られる効果を3つ解説します。
コストを削減できる
不動産業において業務を効率化すると、以下のようなコスト削減につながります。
- 人件費削減
- 消耗品費
- 保管場所
- 交通費
たとえば、システムの導入やアウトソーシングの活用により日々の業務を自動化すれば、人件費削減を目指せるでしょう。
書面で行っていた業務をIT化すれば、紙代や印刷代といった備品費を減らせます。また、契約書を電子保管に変更すれば、保管場所を確保するためのスペースや、キャビネットを用意するコストも軽減できるでしょう。
また、電子契約やオンライン会議システムを利用することで、会社にいながら契約や面談ができるようになります。これにより、現地に行くための交通費の削減も可能です。
顧客満足度が向上する
不動産業において業務を効率化することで、顧客満足度の向上が期待できます。
まず、効率化によって社員がコア業務に集中できる環境が整い、その結果、より高品質なサービスを提供できるようになるでしょう。また、契約手続きにおける顧客の手間や時間を削減することで、利便性も向上します。
日常業務の効率化により、社員の負担が軽減され、コア業務により多くの時間を割けるようになります。顧客一人ひとりに対して丁寧で適切な対応が可能となり、サービスの質が向上するでしょう。さらに、非コア業務の負担が軽くなることで、社員のモチベーションが向上し、より積極的に顧客対応に取り組む姿勢が生まれやすくなります。
一方、オンライン会議システムや電子契約の導入は、顧客の負担を軽減する手段として非常に有効です。たとえば、遠方への転勤で賃貸契約が必要な場合や、不動産会社の営業時間内に来店できない場合でも、対面での書面契約が必須であれば、顧客は会社を休むなどの対応を強いられることがあります。しかし、対面以外で営業や契約ができるシステムを導入すれば、顧客は空き時間を活用して契約手続きを進められ、利便性を大幅に向上することが可能です。
離職率を減らせる
不動産業における業務の効率化は、離職率の軽減にも効果的です。不動産業務の効率化は、社員に以下の影響を与えると考えられます。
- 残業や休日出勤の軽減
- モチベーションアップ
- ワークライフバランスの正常化
業務を効率化すれば、作業量が減ることにより残業や休日出勤を減らせる可能性があります。また、モチベーションがアップすることで、前向きに業務に取り組めるようになるでしょう。
残業や休日出勤が減ればワークライフバランスが整い、プライベートも充実するでしょう。その結果、仕事にも積極手に取り組めるようになるため、離職者の減少が期待できます。
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不動産業における業務改善方法
ここからは、不動産業における業務改善方法を解説します。業務の効率化は、社員1人ではできません。業務改善を目指すのであれば、ここで紹介する方法をぜひ社内全体で取り組みましょう。
業務プロセスのフローチャート化とマニュアルの作成
業務プロセスのフローチャート化とマニュアルの作成は、業務効率化に効果的です。
フローチャートとは、業務のプロセスを可視化するために作成するフロー図です。フローチャートを作成すると、以下のメリットがあります。
- 業務の全体像を把握できる
- 不要な業務を削減できる
- 作業の手順を視覚的に掴める
- 緊急時やトラブル発生時に適切な対応ができる
フローチャートを作成すると、業務の全体像や仕事量を把握できます。フローチャートを作成するにあたり業務を整理することで、不要な業務の削減も可能です。作業の流れや手順を視覚的に掴めるため、業務経験が浅い社員でもスムーズに業務に取り組めるでしょう。
また、フローチャートを社内で共有することで、進捗状況を誰でも確認できるようになります。そのため、不測のトラブルが発生したときなども、適切な対応ができます。
マニュアルとは、業務に関するノウハウやルール、業務全体の進行方向をまとめたものです。マニュアルを作成すると、以下のメリットがあります。
- 業務品質を均一化できる
- 業務の属人化を防げる
- 引き継ぎをスムーズにできる
マニュアルがあれば、業務品質を均一化でき、不備やトラブルを軽減できます。また、業務の属人化を防ぐことで、特定のスタッフに業務負荷が集中する状況も防げるでしょう。マニュアルを社内で共有すれば、担当者不在時に別の社員による対応も可能になります。
ペーパーレス化
ペーパーレス化も、業務改善方法の1つです。ペーパーレスの推進は、備品費や保管費用といったコストを削減できるだけでなく、以下のメリットもあります。
- 人的ミスを軽減できる
- 情報の一元管理ができる
- テレワークに対応できる
ペーパーレス化を進めれば社員による書類の作成業務が減り、人的ミスの軽減を目指せます。また、クラウドサービスなどによる書類の一元管理ができるため、社内での情報共有がスムーズにできるでしょう。そのほか、ペーパーレス化によりオンライン上で書類の確認ややり取りができるため、テレワークに対応しやすい点もメリットです。
ペーパーレス化には、システムやツールの導入が必要です。導入にあたっては、コストがかかることは覚えておきましょう。個人情報や重要事項が記載された書類を管理することもあるため、信頼できる業者のシステムを導入することが肝心です。
定型業務の自動化
業務改善を目指すのであれば、定型業務の自動化もポイントです。定型業務は作業の流れや手順が決まっているため、ITツールやアウトソーシングなどを利用した自動化が可能と考えられます。
不動産業界は、定型業務が多い業界の1つといわれます。定型業務の具体例を、以下で確認しましょう。
- 売上日報の作成
- 物件情報の登録・更新
- 物件情報の収集・検索
- 問い合わせ対応
- DMの発送
不動産業では、DMによるマーケティングが重用されます。施策の効果を上げるには、顧客全員に同じ内容のDMを発送するのではなく、潜在顧客や見込み客、優良顧客、休眠顧客など、それぞれのターゲットに合わせたDMの作成が必須です。
すべてのDMを手作業で作成すると、人件費がかかるだけでなく社員に大きな業務負担がかかります。社員の負担を減らし、効率的にDM施策を実施したいのであれば、アウトソーシングによる自動化も有効です。
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関連記事:不動産DMを成功させるポイントは?購入・売却別の例文も紹介
不動産業の業務効率化を実現する4つの施策
不動産業の業務効率化を実現するにはツールやシステム、アウトソーシングの導入を検討しましょう。ここでは、業務の効率化に効果的な具体的な4つの施策を解説します。
1.可変印字郵送サービスの導入
可変印字とはバリアブル印刷とも呼ばれる印刷方法で、1枚1枚異なる文字や画像などを印刷する技術です。顧客に合わせたマーケティングや、管理が必要なナンバリングの印刷等に利用されます。
バリアブル印刷を活用すれば、顧客ごとにカスタマイズしたDMを作成できます。特に、潜在顧客 や見込み客、優良顧客、休眠顧客など、個客のステータスに合わせたDM送付が必須の不動産業界では、バリアブル印刷から郵送までを請け負うサービスを利用することで、社員の業務量を大幅に削減できるでしょう。
顧客に対してピンポイントに資料やメッセージを届けることで、効率的な集客やビジネスチャンスの創出も期待できます。
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バリアブル印刷の活用方法をさらに詳しく知りたい方は、以下もご覧ください。
関連記事:バリアブル印刷とは?活用事例やメリット・仕組みを解説
2.不動産管理ツールの導入
不動産管理ツールとは、土地や建物など不動産情報の管理に特化したシステムです。不動産管理システムの機能の一例には、以下が挙げられます。
- 物件情報管理
- 契約者管理
- 諸費用精算書や契約書・重要事項説明書の作成
- 家賃入金状況の管理
- 入居者からの問い合わせ管理
- 修繕や原状回復の管理
- 送金明細書や請求書の作成
ツールによって、搭載される機能が異なります。システムを選ぶ際には、自社にとって必要な機能があるかを事前に確認しましょう。併せて、ソフトの操作性や導入にかかるコスト、サポート体制も確認すると安心です。
3.顧客管理システム(CRM)の導入
顧客管理システム(CRM)とは、顧客情報を一元管理できるシステムです。機能の一例は、以下のとおりです。
- 物件の問い合わせ管理
- Webの内見予約
- 商談管理
- 賃貸等の契約管理
- 自動メール配信
CRMを導入すればマーケティングや営業、マネージャーなど部署を跨いだ連携をとりやすくなります。また、属人化しがちな営業ノウハウやスキルを社内で共有することで、営業部門全体における能力の底上げを実現できるでしょう。
また、顧客管理システムによっては、見込み客へのメール配信といった営業支援機能が付いているものもあります。システムによる多角的な視点での分析が行われることで、来店率や成約率の向上が期待できるでしょう。
顧客管理システムは、自社にとって必要な機能が備わっているものを選んでください。併せて、不動産業界での導入実績の有無も確認すると安心です。また、使い勝手の良さを重視するのであれば、スマートフォンでの操作に対応しているものが選択肢となるでしょう。
4.RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とはデータ入力や請求書作成、受発注の管理など、主に定型業務の自動化ができるソフトウェアです。不動産業においては、以下の業務に対応しています。
- 物件情報の登録や更新
- 物件情報の収集および検索
- 問い合わせへの自動対応
RPAを利用すれば物件情報のリアルタイムな更新が可能で、契約が決まった物件の即時削除もできます。物件情報の登録までに時間がかかる、契約の反映漏れが発生するといった、手動での業務で発生しがちな不備を軽減できるでしょう。
また、よくある質問に対する返信をテンプレートで作成しておけば、問い合わせへの自動対応も可能です。これにより、社員の業務負担が軽減されるだけでなく、スピーディーな返答による顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
RPAはさまざまな業務に対応できますが、一度にすべての業務をシステム化すると、思わぬトラブルや不具合が発生することがあります。スムーズに運用をスタートするには、まずは業務の一部で試用してみると安心です。
自社に合ったシステムやツールを活用し、不動産業の業務効率化を目指そう
不動産業は、業務の効率化が必要とされる業界の1つです。業務の効率化により、業務量の多さやIT化の遅れ、人手不足といった不動産業界の課題を解決し、コスト削減や顧客満足度向上、離職率低減などの効果を期待できます。
業務の効率化を実現するにはフローチャートやマニュアルの活用、ペーパーレス化のほかに、業務の自動化が重要です。業務を自動化するには、システムやツール、アウトソーシングを上手に活用してください。
不動産業ではマーケティングの1つとして、頻繁にDM施策を実施します。顧客1人1人に合わせた効果的なDMを発送したいと考えているのであれば、ぜひバリアブル印刷を検討しましょう。
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