支払督促とは?手続きの流れや未払いを減らす方法も紹介

支払督促とは、支払いをしてくれない相手方に対し、簡易裁判所に申立てをして支払いを促す制度です。書類審査だけの手続きで、民事訴訟のように裁判所に出向く必要がありません。

本記事では支払督促の手続きや利用する流れ、メリット・デメリットを解説します。支払督促をせずに済ませるための方法も紹介しますので、参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.支払督促とは
    1. 1.1.簡易裁判所が支払いを命じる制度
    2. 1.2.支払督促の特徴
  2. 2.支払督促の流れ
    1. 2.1.支払督促の申立てを行う
    2. 2.2.支払督促書を相手に送付する
    3. 2.3.仮執行宣言の申立てを行う
    4. 2.4.仮執行宣言付支払督促を相手に送付する
  3. 3.支払督促のメリット
    1. 3.1.時効を中断する
    2. 3.2.間接的なプレッシャーで支払いを促す
  4. 4.支払督促のデメリット
  5. 5.支払督促を避ける方法
    1. 5.1.与信管理を徹底する
    2. 5.2.未払いへの催促を行う
      1. 5.2.1.催促の手順
      2. 5.2.2.面倒な帳票作成・発送はSaaSサービスを利用する
  6. 6.支払督促を避けるには未払いへの催促が大事

支払督促とは


支払督促とは、代金の支払いに応じない相手方に対し、簡易裁判所を通じて支払いを求める手続きです。正式な裁判の手続きを経ずに、判決と同じ支払命令の効果を得られます。

ここでは、支払督促の制度内容や特徴を解説します。


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簡易裁判所が支払いを命じる制度

支払督促は、債権者の申立てにより支払命令の処分を得る略式の手続きです。

取引で発生した売掛金などの債権に対して催促をしても支払いに応じてもらえない場合、民事訴訟により法的に解決を図ることができます。しかし、訴訟を起こすのは手間がかかり、まとまった費用も必要です。

支払督促であれば書類審査のみで迅速な手続きができ、訴訟のような手間や費用はかかりません。債務者からの異議の申立てがなければ、判決と同じ法的効力が生じます。

支払督促の特徴

支払督促は書類審査のみで行われます。訴訟のように裁判所に出向いたり、証拠を提出したりする必要はありません。郵送やオンラインによる手続きであり、手軽に利用できます。

書類を受け取ったら裁判所書記官が審査を行い、債務者の意見を聞かずに支払いを命じる「支払督促」を発付します。相手方が支払督促を受け取っても支払わず、異議申立てもしないような場合、申立人は支払督促に対して強制執行の申立ても可能です。

民事訴訟と比較して手数料が安いのも特徴です。例えば、100万円の支払いを求める民事訴訟では手数料として1万円の印紙が必要ですが、支払督促では半額の5,000円で足ります。

支払督促の流れ

支払督促の手続きは、全体的に1ヶ月〜2ヶ月程度で完了します。ここでは、手続きの具体的な流れを紹介します。

支払督促の申立てを行う

まず、申立てをするため、支払督促申立書に債務者や債権者情報などの必要事項を記入して、簡易裁判所に提出します。提出するのは、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所です。

申立書以外にも当事者目録や郵便はがき、登記事項証明書(申立人が法人の場合)といった必要書類があるため、事前によく確認しておきましょう。

支払督促書を相手に送付する

簡易裁判所の書記官が受け取った書類の内容を確認し、請求に理由があると認められた場合は、相手方に支払督促書と督促異議申立書が送付されます。

申立人には、支払督促を送付したことを知らせる文書が通知されます。相手方が代金を支払えば、その時点で支払督促は完了です。

相手方が支払いに応じずに異議申立てがあった場合、民事訴訟手続きへ移行することになります。

仮執行宣言の申立てを行う

相手方が支払いに応じず、支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てをしなければ、申立人は強制執行へと移行するための「仮執行宣言」の申立てができます。強制執行とは、国が強制的に債務を履行させる制度です。債務者の不動産や家財道具などの動産、預貯金などが差し押さえられます。

仮執行宣言の申立てができるのは、2週間を経過した翌日から30日以内です。その期間を過ぎると支払督促の効果は失われます。

仮執行宣言付支払督促を相手に送付する

仮執行宣言の申立てを受け取った裁判所は、審査をしたのち「仮執行宣言付支払督促」を申立人と相手方に送付します。

仮執行宣言付支払督促は、相手方の住所や居所がわからない場合、意思表示が法的に到達したものと取り扱う公示送達も利用できます。最初の支払督促では公示送達ができないため、支払督促をしたのちに住所が不明になった場合に役立つ手続きです。

仮執行宣言付支払督促をしても相手方が支払いに応じない場合、強制執行の申立てを行って差し押さえを実行します。

支払督促のメリット

支払督促には、時効中断や支払いを間接的に強制するなどのメリットがあります。ここでは、支払督促のメリットを解説します。

時効を中断する

相手方に金銭の支払いを請求する権利は、権利を行使できることを知ったときから5年、または権利を行使できるときから10年で時効により消滅します。しかし、支払督促の申立てを行えば、時効を一時中断できます。

事項が中断するのは「仮執行宣言付き支払督促」が相手方に送達されて2週間以内に異議の申立てをしない場合です。支払督促が確定し、これまで経過してきた時効期間をゼロに戻して時効が更新されます。

間接的なプレッシャーで支払いを促す

支払督促には、相手方へ間接的にプレッシャーを与え、支払いを促す効果があります。催促状や督促状を送っても反応がない場合でも、裁判所の書類が届いたとたんに支払いに応じるというケースは少なくありません。

支払督促は、通常の訴訟と比べて短期間で手続きが終わることもメリットです。書類審査のみの手続きであるため、一度も裁判所に出向かずに完了することもあるでしょう。

関連記事:督促状とは?封筒や文書の正しい書き方や注意点、おすすめの代行サービスを紹介

支払督促のデメリット


支払督促により、相手方からすぐ支払いがあれば問題はありません。しかし、相手から異議申立てがあった場合は訴訟へ移行し、原則として裁判所に出向く必要があります。

訴訟の手間を避けて取り下げる場合は、それまでに費やした費用を相手方に請求できず、未払金も回収できないという結果になります。

また、最初の支払督促では基本的に公示送達の利用ができません。そのため、初めから相手の住所がわからなければ、そもそも支払督促ができないことになります。

支払督促を避ける方法

支払督促はすぐに支払ってもらえるのであれば便利な制度ですが、必ずしもうまくいくわけではありません。場合によっては支払いをしてもらえないだけでなく、支払督促にかかる費用も回収できず手間やコストだけを負担する結果ともなります。

そのため、与信管理や未払いへの催促など、支払督促を行わずに済むための対策が必要です。

詳しくみていきましょう。

与信管理を徹底する

代金未払いのリスクを避けるには、与信管理の徹底が大切です。与信とは取引相手に信用を与えることであり、企業間の取引では取引先を信用して代金を後日支払ってもらう与信取引がメインに行われています。

取引はお互いの信頼により成り立っており、取引先について情報を収集し、世間の評価などで与信を設定しなければなりません、与信管理を徹底することで、未払いのリスクを避けられます。

未払いへの催促を行う

支払督促をしなければならない状態になる前に、こまめに催促をすることが大切です。ここでは、催促の手順や、書類を送る際に便利なサービスを紹介しましょう。

催促の手順

未払いについてはこまめにチェックし、適切なタイミングで催促状や督促状を送るようにしましょう。

催促の手順は、次のとおりです。

  1. 請求に不備がないかをチェックする
  2. 電話、またはメールで連絡する
  3. 催促状を送る
  4. 督促状を送る

まず、催促状を送る前に、自社に不備がないかを確認しましょう。請求書の宛先や支払い期限などに間違いがないか、送付先を間違っていないか、そもそも請求書を送り忘れていないかをチェックしてください。

間違いなく正しい請求書を送付していることを確認できたら、電話やメールで支払いの確認をします。まず、連絡した証拠を残すためにメールで支払いが確認できないことを伝えましょう。送付後、2〜3日しても連絡がなければ、電話連絡をします。

電話やメールをしても入金の確認ができない場合、催促状を送ります。次の内容を記載しましょう。

〇月〇日に連絡をしたが、いまだに入金の確認が取れないこと
〇月〇日までに連絡もしくは入金をしてもらいたいこと

文面では、明確な日付を記載することが大切です。


催促状を送っても入金がない場合、督促状を送ります。記載する内容は基本的に催促状と同じですが、文章のニュアンスは異なり、より強く支払いを促す文面になります。

支払いがなければ法的措置に出る可能性があることを記載し、送った証拠が残せる「内容証明郵便」を利用することも大切です。

関連記事:催促状の正しい書き方は?記載事項や例文を紹介​​​​​​​

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支払督促を避けるには未払いへの催促が大事

支払督促は簡易裁判所を通じて支払いを求める手続きで、郵送やオンラインにより手軽に利用できます。裁判所から通知が届くため、支払いに応じてくれない相手方に対してプレッシャーを与えられる点がメリットです。

ただし、支払督促には費用がかかり、支払いを受けられないと訴訟手続きに移行するなどデメリットな側面もあります。そのような事態になる前に、催促状などの文書をこまめに送ることが大切です。NEXLINKオンデマンド便であれば面倒な帳票作成や発送を低コストで依頼できるため、ぜひご活用ください。


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