債権管理とは?重要性や業務フロー、効率化のポイントを解説


債権管理とは売掛金や貸付金といった債権を管理することで、キャッシュフローの改善や財務の健全化を実現するために重要な業務の1つです。本記事では債権管理の目的と重要性および業務フロー、気を付けたいポイント、債権管理システムの活用方法を解説します。会社の資金繰りに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.債権管理とは?与信管理との違い
  2. 2.債権管理の目的
    1. 2.1.保有している債権の把握
    2. 2.2.期限内の債権回収
    3. 2.3.債権の時効消滅の防止
  3. 3.債権管理が重要な理由
    1. 3.1.キャッシュフロー(資金繰り)を改善できる
    2. 3.2.正確な経理と申告につながる
  4. 4.債権管理における5つの業務フロー
    1. 4.1.1.コーポレートチェック
    2. 4.2.2.与信限度額の設定
    3. 4.3.3.契約締結
    4. 4.4.4.債権管理表の作成
    5. 4.5.5.帳簿への記録
    6. 4.6.6.未払債権への対応
  5. 5.債権管理で気を付けたいポイント
    1. 5.1.業務が煩雑で人的ミスが起こりやすい
    2. 5.2.拠点が複数ある場合、一括管理が難しい
    3. 5.3.債権管理に関するスキルを持つ人材が少ない
  6. 6.業務の効率化を目指すなら債権管理システムも活用する
  7. 7.スムーズな債権管理を実現し健全な会社経営を目指そう

債権管理とは?与信管理との違い

債権とは特定の相手方に対し、商品代金や利息の支払いといった「債務」の履行を請求できる権利です。債権管理とは、未払いの債権を管理し回収する業務です。企業取引における債権の一例には、以下があげられます。

債権の種類

概要

売掛金

商品の販売やサービスの提供により発生した売上を、将来金銭で受け取る権利
卸売業や製造業、サービス業といった幅広い業種で使用される

受取手形

売掛金と同様、商品販売やサービス提供の代金を将来金銭で受け取る権利
証書が発行される点や法的強制力がある点が売掛金と異なる

貸付金

所定の期日での返済を約束したうえで貸し付けた金銭

債権管理とよく似た言葉に、与信管理があります。与信管理とは、契約前に取引相手の返済能力や信用力を確認し、契約の可否や取引金額を判断する業務です。これにより、相手の返済能力を超えた契約による債務不履行の発生を防ぎます。

債権管理と与信管理はどちらも債権をしっかりと回収するための管理業務ですが、与信管理は契約前、債権管理は契約後に行う点が大きな違いといえるでしょう。


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから


債権管理の目的

適正な債権管理を行うためには、業務の目的を把握しておかなくてはなりません。債権管理における主な目的には、保有している債権の把握や期限内の回収、債権の時効消滅の防止があげられます。

ここでは、それぞれの内容を詳しく解説します。

保有している債権の把握

債権管理の目的の1つめは、保有している債権の把握です。売掛金や受取手形などの債権は、商品の売買やサービスの提供ごとに発生します。そのため事業内容や企業規模などによっては、保有する債権の数や種類が大量になる可能性があります。

保有する債権の数が増えると、回収日の見落としや回収忘れなどが発生するかもしれません。債権を最大限に回収するためには、債権管理表を作成し漏れなく把握することが肝心です。

期限内の債権回収

2つめの目的は、期限内の債権の回収です。債権には支払期限があります。支払期限を過ぎると次項で解説する時効による消滅が発生する可能性があるため、できる限り期限内の回収を進めたいところです。

なお期限内に回収できないときは、速やかに催促の連絡をしましょう。適切なタイミングで催促するためにも、日ごろから債券の回収日を管理し把握することは重要です。

未回収の理由が相手方の失念であった場合は、催促によりすぐに支払いを受けられるでしょう。一方、催促したにも関わらず支払いがされないときには、遅延利息や遅延損害金の請求も検討してください。


債権回収についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:債権回収の方法とは?時効や注意点についてわかりやすく解説


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから


債権の時効消滅の防止

目的の3つめは、債権の時効消滅の防止です。債権には、以下の時効が設けられています。

【債権等の消滅時効】

  • 債権者が権利を行使できることを知ったときから5年

  • 債権者が権利を行使できるときから10年

上記のうちいずれかが到来すると、債権を請求する権利は消滅します。債権を時効により失わないためには債権管理を徹底し、時効成立までに資金を回収することが重要です。

なお、債権には時効をストップする以下の2つの規定があります。

【債権の時効をストップする2つの規定】

  • 時効の完成猶予:時効の進行を一時的にストップすること
  • 時効の更新:進んでいた時効の期間がリセットされゼロからスタートすること

時効の猶予または時効の更新が適用されれば、時効成立のタイミングを遅らせられます。時効の猶予または時効の更新が成立する主な要件は、以下のとおりです。

要件

概要

債務者の承認

  • 承認があったときから時効が更新

裁判上の請求

  • 訴えの提起により時効の完成が猶予
  • 確定判決により権利が確定すると時効期間が更新

支払督促

  • 申立てによって時効の完成が猶予
  • 支払督促の確定により時効が更新

強制執行、担保権の

実行など

  • 強制執行の申立ての手続によって時効の完成が猶予
  • 手続終了時に時効が更新

仮差押さえ、仮処分

  • 手続終了時から6ヵ月間時効の完成が猶予

裁判外の催告

  • 6ヵ月間時効の完成が猶予
  • 時効の更新を目指すには裁判上の請求や支払督促の申立てが必要

催促をしても債権の支払いを受けられない場合、時効の猶予または時効の更新を目指す必要があるでしょう。ただし要件を成立させるには、細かい条件を満たさなければなりません。債権管理をする中で回収が難しいと感じるときには、司法書士や弁護士といった専門家に相談しましょう。

参考:民法 | e-Gov法令検索|第166条
参考:民法 | e-Gov法令検索|第147条~

債権管理が重要な理由

債権管理が重要といわれるのは、健全な経営につながるためです。債権管理を徹底し債権を予定通り回収すれば、キャッシュフロー(資金繰り)の改善が期待できます。また、資金の出入りを日ごろから把握し記録することで、正確な経理と申告も可能になるでしょう。

ここでは債権管理によるキャッシュフローの改善と、正確な申告の実現について詳しく解説します。

キャッシュフロー(資金繰り)を改善できる

キャッシュフローを健全に保つことは、企業活動を継続して行くうえで非常に重要です。

キャッシュフローとは、事業において出ていくお金と入ってくるお金の流れのことです。キャッシュフローが崩れると各種支払いができず、たとえ業績が黒字であっても経営を続けられなくなる可能性があります。

たとえばある月の10日に入金予定の売掛金500万円を使って、12日に300万円の仕入代金の支払いを予定していたとしましょう。もし売掛金の500万円を予定通り回収できなかった場合、仕入代金を支払えなくなるかもしれません。

このような債務不履行が発生すると、会社としての信頼が損なわれるだけでなく、損害賠償の支払いを求められたり、強制執行されたりする可能性があります。また最終的には、破産せざるを得なくなることも考えられます。

このような事態を防ぐためにも債権を計画通りに回収し、キャッシュフローを健全に保つことが重要です。

正確な経理と申告につながる

債権が発生したときには時期や金額、取引相手などを正確に記帳する必要があります。また、債権を回収した際や、回収不能になったときにも記帳をしなければなりません。このような売掛債権に関するお金の流れを、その都度確認し正確に記録するのも、債権管理の重要な役割の1つです。

記帳が正しく行われていれば、正確な経理と税務申告を目指せます。しかし売掛債権の把握ができておらず正しい税務申告ができない場合、過少申告による延滞税や加算税が課されるケースもあります。

納税漏れにより企業の信頼を落とさないためにも、債権管理にもとづいた正しい申告と納税を行うことは非常に重要です。

債権管理における5つの業務フロー

債権管理を正しく行うには、いくつもの確認や作業が必要です。ここでは、債権管理業務をスムーズに行うための5つのフローを確認しましょう。

1.コーポレートチェック

コーポレートチェックとは、取引先が信頼できる企業かを確認することです。主なチェック項目は、以下の2点です。

  • 実在する企業か
  • 反社会的勢力ではないか

実在する企業かは、登記情報提供サービスや取引先のホームページで確認しましょう。反社会的勢力かは、インターネットや新聞の過去記事を使って自社で調べる、または調査会社に調査を依頼する方法があります。

2.与信限度額の設定

コーポレートチェックにより取引可能な企業だと判断したら、次は与信限度額の設定です。与信限度額とは、取引先ごとに決めた売掛金や受取手形などの債権の限度額です。

売掛金や受取手形を使用した取引では、取引先のトラブルや倒産などにより、資金を回収できないリスクがあります。リスクを抑えるためにあらかじめ設定するのが、与信限度額です。

与信限度額は、以下をもとに取引先ごとに決定します。

  • 支払能力
  • 財務状況
  • 過去の支払実績
  • 社会的評価

財務状況は、各企業のホームページで確認できます。また、帝国データバンクなど信用調査会社を利用すれば、相手方の信用力の調査が可能です。そのほか、返済能力に不安がある場合は、相手企業に直接ヒアリングも行いましょう。

3.契約締結

与信限度額が決まったら、契約を締結します。債権を回収するにあたりトラブルが発生したときには、契約書の内容が法的な根拠となります。そのため決済の条件や担保の有無、問題発生時の解決方法などを書類に明記し、管理することが重要です。

契約を締結したら、売上を計上し取引先へ請求書を発行します。契約書および請求書は、適切に取引が行われたことを示すためにしっかりと保管することが肝心です。

4.債権管理表の作成

売掛金や受取手形などによる取引をしたら、債権管理表を作成しましょう。債権管理表では債権の残高や回収状況を管理するため、取引先ごとに売掛金発生月・売掛金額・回収期日・回収日・繰越金額を記録します。

債権管理表には、以下の2種類があります。

  • 売掛金残高一覧表:売掛金残高を取引先ごとに管理
  • 売掛金年齢表:売掛金残高を得意先ごとに、売上月や入金期日を基準として月ごとの時間軸で区分して管理

売掛金残高一覧表では、企業が保有するリアルタイムな債権残高の確認が可能です。売掛金年齢表では、債権回収までの期間や支払いが未済の債権がないかをチェックできます。債権管理表は会計検査や税務調査で提出が必要なケースもあるため、不備がないよう作成・保管しましょう。

5.帳簿への記録

債権が回収され、入金が確認できたら債権額と照らし合わせ過不足がないことを確認します。入金額が正しければ仕訳処理を行い、帳簿から売掛金や受取手形などの債権の消し込みをしましょう。

たとえば30万円分の商品を掛け売りし、後日当座預金に30万円が振り込まれたときの仕訳は以下のとおりです。



借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

売掛発生

売掛金

30万円

売上

30万円

消込処理

当座預金

30万円

売掛金

30万円

万が一入金額が間違っているときは、取引先に直接確認してください。入金額を間違える要因としては、処理上のミスや入金漏れなどが考えられます。入金額が合わないときにはそのままにせず、原因を明らかにしたうえで適切な処理を行うことが重要です。

6.未払債権への対応

未払債権が発生したときには、速やかな対応が何よりも肝心です。取引先に支払いを促す主な方法には、以下があげられます。

  1. 取引先(担当者)に直接連絡し、支払いを促す
  2. 催促状を送付する
  3. 内容証明郵便で督促状を送付する
  4. 裁判所で支払督促手続を申し立てる
  5. 裁判所で訴訟を提起する
  6. 強制執行手続を申し立てる

未払いの要因が支払い忘れの場合は、連絡をすればすぐに債権の回収ができるでしょう。一方、取引先のトラブルや資金繰り悪化が原因の場合、債権回収が難航するかもしれません。その場合は、段階的に法的効力を強めた回収を進めてください。


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから


債権管理で気を付けたいポイント

債権管理業務は、多くの作業を伴います。会社の規模によっては、債権の数が多く管理者の負担が大きくなることもあるでしょう。ここでは、債権管理で気を付けたいポイントを3つ解説します。

業務が煩雑で人的ミスが起こりやすい

債権管理は業務内容が煩雑なため、人的ミスが発生する可能性があります。債権管理では契約書や請求書などの書類作成、債権管理表や帳簿への記録など細かい作業も少なくありません。

会社の規模や事業内容によっては多くの債権を取り扱うため、特に人的ミスが発生しやすくなります。ミスが発生すると、資金繰りの悪化や申告漏れにつながる場合があります。

ミスを減らすには、複数の担当者によるダブルチェックが効果的です。ただし、ダブルチェックをしてもミスを完全に減らすのは簡単ではありません。手動での作業ではミスの軽減が難しい場合は、システムの導入も検討しましょう。

NEXLINK オンデマンド印刷発送サービス Doculinkタイプであれば、支払い請求をはじめとする大量の債権回収関連書類の作成や印刷、発送にかかる時間や手間を大幅に改善できます。業務負担を減らすことで、担当者は債権回収業務に専念できるようになるでしょう。実際にシステムを導入し、業務におけるヒューマンエラーの改善につながった事例を知りたい方は、以下をご覧ください。

「Doculink」を活用することで 現場の負荷の大幅な低減を実現し、 債権回収業務への集中が可能に~セゾン債権回収株式会社~


債権回収に関する事例集のダウンロード→こちらから


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから


拠点が複数ある場合、一括管理が難しい

会社の規模が大きく複数の拠点を持つ場合は、一括管理が難しく各拠点での管理になりがちです。拠点ごとに管理を行っていると、書類の作成方法や管理ルールが統一されない可能性があります。

また、拠点ごとに管理された情報を本社がまとめるにあたっては、さらに手間がかかるだけでなく、情報の共有漏れが発生する場合もあります。複数拠点がある企業は、債権に関する情報を一元管理できる体制やシステム作りを進めましょう。

債権管理に関するスキルを持つ人材が少ない

債権管理業務では豊富な経験とスキルがあり、緻密な作業ができる人材が求められます。しかし実際には、一定以上のスキルを持つ人材は多くありません。

そもそも労働者人口が減少し続けていることを考えると、簿記や会計、債権回収などの専門知識を持った人材の確保は今後さらに難しくなると考えられます。

人材が不足していると一人の担当者にかかる業務負担が増え、人的ミスが増える可能性が上がります。人材を集めるのが難しい場合には、業務のデジタル化とシステムの導入も有力な選択肢です。

業務の効率化を目指すなら債権管理システムも活用する

業務の効率化を目指すのであれば、債権管理システムも活用しましょう。管理システムを導入すれば、以下のメリットが期待できます。

  • 人的ミスの軽減
  • 業務の効率化

システムを活用すれば、債権のステータスの明確化や未回収債権の自動抽出などが可能です。これまで人がチェックしていたところをシステムに任せることで、ヒューマンエラーの軽減も期待できます。

また、共通のデータベースを導入することで、拠点の場所に関わらず共通システムで債権管理できるようになります。システムを上手に取り入れることで業務の効率化を図れ、ひいてはコストの削減にもつながるでしょう。

システム導入を検討しているのであれば、ぜひNEXLINK オンデマンド印刷発送サービス Doculinkタイプをご検討ください。NEXLINK オンデマンド印刷発送サービス Doculinkタイプでは、債権回収業務において大量に発生する書類の作成や印刷・発送といった業務負担を、大幅に軽減できます。これにより担当者は他の業務に集中でき、人的ミスの軽減や仕事の効率化を目指せます。

また、NEXLINK オンデマンド印刷発送サービス Doculinkタイプ は、送付する封筒の色を白以外にも赤と青から選ぶことができます。重要な通知を色付き封筒で送ることにより、他よりも目立つため、紛れることがありません。


債権回収に関する事例集のダウンロード→こちらから


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから



スムーズな債権管理を実現し健全な会社経営を目指そう

債権回収業務は会社のキャッシュフローを健全化し、正確な経理と申告を目指すために重要な業務です。業務内容は、取引先の与信管理から債権の把握、帳簿への記載、未回収債権の回収業務など多岐に渡ります。

そのため債権回収業務を担当するには、一定の経験や専門知識が不可欠です。しかし実際には、スキルを持った人材の確保は簡単ではありません。労働者人口が減っていることを考えると、今後も優秀な人材集めは難航する可能性があります。

限られた人材の中で債権管理業務における人的ミスを減らしたい、業務の効率化を目指したいと考えているのであれば、システムの導入も検討しましょう。システムを活用することで担当者の業務負担を減らし、スムーズな債権管理を目指してください。


帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
Doculink(ドキュリンク)サービス資料無料ダウンロードはこちらから


関連記事

DMのおすすめ記事

帳票のおすすめ記事

郵送DMの発送業務、マーケティング/販促活動を
お考えならお気軽にご相談ください

お電話でのお問い合わせはこちら
ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください。
サービスについての詳しい資料は
こちらからダウンロードできます