帳票管理の重要性とは?帳票の種類や管理方法について解説
企業が作成する帳票の管理は、経営状況の把握や確定申告を適切に行うために重要です。帳票の種類によって一定期間の保存義務があり、適切に管理しなければなりません。
本記事では帳票の意味や管理の重要性、帳票の電子化など保存方法を解説します。
目次[非表示]
- 1.帳票とは?
- 2.業界ごとの帳票の種類
- 3.帳票管理が重要な理由
- 3.1.一定期間の保存義務がある
- 3.2.紙による保存が原則
- 3.3.電子データによる保存も可能
- 3.3.1.帳票を電子化する方法
- 4.帳票は適切に管理しよう
帳票とは?
帳票とは、企業が事業運営に際して作成する帳簿や伝票のことです。帳簿は取引やお金の流れを記録するもので、伝票は日々の取引内容を記録した書類を指します。
ここでは、帳票と証憑の違いや、帳票の役割をみていきましょう。
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帳票と証憑の違い
帳票と似た書類に証憑があります。証憑とは、取引の事実を証明する書類のことです。証憑により過去にどのような取引が行われたのかを確認でき、取引が成立したことの証明にもなります。
証憑の一例は、次のような書類です。
- 領収書
- 納品書
- 契約書
- 請求書
帳票と証憑は、帳票が取引内容・経営状況を記録するものであるのに対し、証憑は取引の成立を証明するものという点が異なります。
厳密には帳票と証憑は意味が異なりますが、帳票は証憑も含めた広い意味として扱われることもあります。
帳票の役割
帳票には、現在の経営状況を客観的に把握する役割があります。どのような取引を行い、どのようにお金が流れたのかを確認することで、経営課題の抽出が可能です。今後の経営方針についての判断材料にもなるでしょう。
帳票は、確定申告や決算に必要な貸借対照表・損益計算書といった書類を作成するためにも欠かせません。これらの書類を正しく作成できないと確定申告に不備が起こる可能性もあり、日々作成する帳票の適切な管理が求められます。
帳票の種類
帳票は、帳簿と伝票の2種類があります。帳簿は日々の取引で発生した金銭のやり取りを記録した書類であり、伝票は取引を客観的に証明するために作成される書類です。
ここでは、帳簿と伝票について解説します。
帳簿
帳簿とは、企業の取引を記録し、経営状況を把握するために作成される書類です。会社法によって作成が義務づけられ、正確には「会計帳簿」と呼ばれます。主に次の書類が帳簿にあたります。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 売掛金元帳
- 買掛金元帳
- 現金出納帳
帳簿は金銭の流れや取引がわかるよう、簿記のルールに従って作成され、適切に保管・管理されなければなりません。
伝票
伝票とは、金銭の取引を記載した書類です。取引ごとの内容や金額、勘定科目などが記載されています。伝票の様式には特に法律の定めがなく。一般的には取引の日付や勘定科目、取引内容、金額が記載されています。
伝票に該当するのは、主に次のような書類です。
- 入金伝票
- 出金伝票
- 振替伝票
伝票には日々の取引を整理し、効率的な会計処理を行う役割があります。
業界ごとの帳票の種類
帳票は事業運営で作成する幅広い書類が該当し、一般的には証憑も含めた書類が「帳票」と呼ばれています。
具体的にどのような書類が帳票にあたるかは、業界ごとに異なります。業界ごとの帳票についてみてみましょう。
製造業では、製造工程に関する以下のような書類が帳票にあたります。
- 業務日報
- 工場の作業指示書
- 設備の点検表
銀行や証券会社では、金銭の出し入れに関して以下のような書類が帳票になります。
- 入金申込書
- 払戻請求書
- 振込依頼書
- 税金・公共料金等納付依頼書
- 残高証明書(住宅ローン等)
- 目論見書(証券)
このほか、予備校や学校の成績表や自動車検査表、パスワード等通知書も帳票にあたり、支払いがないときに発行する督促状も帳票の一種です。
帳票管理が重要な理由
会社併営では、経営状況を正しく把握するために帳票管理が重要です。帳票が正しく管理されていなければ、決算や確定申告にも支障をきたします。
ここでは、帳票管理が重要な理由を解説します。
一定期間の保存義務がある
帳票は、所得税法、法人税法、会社法でそれぞれ一定期間保存する義務が定められています。
所得税法では、青色申告で確定申告する場合、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、固定資産台帳などの帳簿は7年の保存が必要です。また、請求書や見積書、契約書など取引に関して作成・受領した書類は5年の保存が義務付けられています。
法人税法では、帳簿の保存期間は原則7年間で、欠損金が生じた事業年度については9年間の保存が必要です。また、伝票の場合は法人は7年(欠損金が生じた場合は9年間)、個人事業主は5年間の保存義務が課せられています。
会社法では、帳簿書類等の保存期間は税法にかかわらず10年間とされており、会社法に定めのない領収書や請求書などの書類は税法で定める7年間もしくは9年間の保存が必要です。
紙による保存が原則
帳票は、紙による保存が原則とされています。会計ソフトなどパソコンで作成した帳票でも、出力して紙により保存しなくてはなりません。
紙で保存することで、ITに関するスキルがなくても帳票の作成・閲覧ができる点がメリットです。確認しやすく、通信障害や停電などの影響も受けません。
一方で、保管スペースが必要になり、過去の書類を探すのに手間がかかる点がデメリットです。紙や印刷代などのコストがかかり、紛失のリスクやセキュリティ上の問題もあります。
電子データによる保存も可能
紙の書類は、記録の真実性や可視性など電子帳簿保存法の要件を満たすことで、特定の国税関係帳簿書類は電子データとして保存できます。
2022年、電子帳簿保存法の改正により保存の要件が緩和され、帳票の電子化を行う企業も増えてきました。さらに電子取引を行った場合の書類については紙に印刷して保存するのではなく、電子保存が義務化される改正も行われています。
関連記事:帳票の電子化とは?電子化することのメリットや問題点、導入の手順を解説
帳票を電子化する方法
帳票を電子化する方法は、次の3つがあります。
- エクセルなどで作成した帳票をPDFで出力する
- 電子帳票システムを利用する
- 紙の帳票をスキャンして電子化する
エクセルなどのツールで作成した書類は、PDFファイルとして出力することで簡単に電子化できます。また、電子帳票システムを利用すれば、レイアウトの設計をしたり、豊富なテンプレートから自社に合った形式の帳票を選んだりすることも可能です。
スキャナ保存の場合は、取引相手から受け取った請求書や領収書など、対象となる書類が限られています。
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エクセルで作成した帳票はPDFに出力でき、管理も容易にできる点がメリットです。
関連記事:帳票DXとは?推進するメリットと電子化の方法、便利なサービスを紹介
帳票作成・発送のコストと時間を削減できる
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帳票は適切に管理しよう
帳票は、会社経営に際して作成する帳簿や伝票のことです。経営状況を客観的に把握し、確定申告や決算を正確に行うために重要な役割があります。帳票には法に定められた保存義務があり、一定期間、適切に管理しなければなりません。
紙の保存が原則ですが、所定の要件を満たすことで電子保存も認められています。電子データによる保存は、検索や閲覧が容易になり、業務の効率化に役立ちます。自社に合う保存方法を考え、帳票を正しく管理しましょう。